軽貨物ドライバーは、数あるドライバー職の中で未経験でも働きやすく始めやすい仕事といえます。近年では、異業種から転職される方も少なくありません。もしかしたら軽貨物ドライバーへの転職を検討している方もいるはず。
本記事では、軽貨物ドライバーについて、仕事内容や手取り、働くうえでの注意点、稼ぎを増やす方法などについて解説します。
軽貨物ドライバーの仕事内容
軽貨物ドライバーの主な仕事は、個人や店舗、オフィスなどへ荷物を届けることです。正式な事業名称としては「貨物軽自動車運送事業」となります。
準中型免許や大型自動車免許が必要なトラックドライバーとは違い、普通免許と軽バンや軽トラックがあれば仕事ができるのが軽貨物ドライバーの大きな特徴。
扱う荷物も比較的小さく軽量なものが多いため、女性や高齢の方など重いものを運ぶことに自信がない方でも働きやすい仕事といえるでしょう。
休憩時間などは特に決まっておらず、荷物の時間指定や配送状況を考慮したうえで自由にとることも可能です。
軽貨物ドライバーは「フリーランス」がメイン
軽貨物ドライバーは運送会社で正社員として働くケースもありますが、多くはフリーランスとして荷主や軽貨物事業者と業務委託契約を結ぶのが一般的です。そのため、基本的には個人事業主として開業し、軽貨物運送事業者の登録を行う必要があります。
自身で仕事のマネジメントをしなければいけない難しさはありますが、それだけやりがいのある働き方といえるでしょう。
個人事業主の開業手続き
個人事業主の開業手続きは税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。原則として開業から1カ月以内に行う必要があるため、忘れないように計画的に行いましょう。
軽貨物運送事業者の登録
軽貨物ドライバーとして働くには、使用する車両を管轄している運輸支局に「貨物軽自動車運送事業経営届出書」「運賃料金表」「事業用自動車連絡書」「車検証のコピー」を提出して、軽貨物運送事業者の登録をしなければいけません。届け出が認められると、営業用車両に取り付ける黒ナンバーを取得できます。
軽貨物ドライバーの手取り
前述の通り、軽貨物ドライバーは個人事業主として働くケースが多いため、収入や手取りも業務量や経費の金額などによって大きく変動します。ここでは、ひと月に50万円の収入を得たと想定し、手取りの一例を紹介します。
項目 | 金額 |
---|---|
収入 | 50万円 |
支出:車両リース代 | -5万円 |
支出:ガソリン代 | -5万円 |
支出:パーキング代 | -1万5千円 |
支出:通信費(スマホ) | -1万円 |
支出:各種税金 | -7万円 |
手取り | 30万5000円 |
なお、軽貨物ドライバーの収入は、荷主や軽貨物事業者から支払われる報酬、報酬形態は仕事によってさまざまです。
個人への宅配では「出来高制」となっている場合が多く、荷物を届けた分の報酬を受け取れます。働いた分だけ収入も増えるため、働き方次第では高給取りを目指せるでしょう。
また、店舗やオフィスなど企業への配送では「固定報酬制」も多くみられます。固定報酬制の場合は、決められた時間内で働いて一定の報酬を受け取れます。
このほかに、「最低報酬+歩合」などの報酬形態もあります。自分の働き方に合わせて少しでも収入を増やせる報酬形態を選ぶことも、手取りアップには欠かせません。
軽貨物ドライバーの手取りを減らす落とし穴
個人事業主の軽貨物ドライバーは、働けば働くだけ多くの収入を得られますが、時には以下のような理由で手取りが減ってしまうケースもあります。
閑散期は収入が減ることがある
運送業は地域や扱う荷物の種類などで需要の波があり、時期によっては閑散期となり案件が見つからない恐れがあります。
フリーランスでの軽貨物ドライバーは働きと収入が比例するため、一時的に収入が大きく減る恐れも……。
閑散期を見越して、日頃からドライバー仲間との協力体制構築や別案件の獲得などの根回しをしておくことが大切です。
事故や破損の損害に注意
配送中に事故を起こしてしまうと、配送が止まるだけでなく損害賠償が発生する恐れがあります。
また、配送物を破損してしまった場合も賠償責任が伴います。そのため、日常の運転よりも慎重な安全運転を心がけなければいけません。
配送中や保管中のリスクをカバーしてくれる貨物保険への加入も検討しましょう。
業務上の経費がかかる
軽貨物ドライバーとして働くうえでかかる出費もしっかりと考えておかなければいけません。
車の購入費や車検量、ガソリン代、固定資産税など各種税金、駐車場代、メンテナンス費用、保険料などさまざまな費用が発生するため、それらを考慮して資金繰りをする必要があります。
フリーランスの場合は確定申告や経費申請をしっかりと
会社雇用の場合は、会社が税金の申告などを行ってくれますが、フリーランスの場合は自身で確定申告などを行う必要があります。
申告が正しく行われていない場合、追徴課税になる可能性もあるため注意しましょう。
軽貨物ドライバーが収入をアップさせるには
軽貨物ドライバーとしてより多くの収入を得るためのポイントをいくつか紹介します。
業務効率を上げるための工夫を
配送ルートや配送方法を工夫して業務効率が上がれば、それだけ多くの配送をこなすことができます。また、効率の良い配送によってガソリンを節約できるのもポイント。
「配送ルートの混雑状況を把握する」「渋滞や事故が起きた際の別ルートを確保」「午前中の早いうちに配達をして再配達リスクを軽減」「取りやすいように荷積みを行う」など、小さな努力が収入アップにつながります。
業務委託を結んで仕事量を安定させ
フリーランスとして軽貨物ドライバーをするのであれば、仕事を得る方法は「求人サイト」「荷主への営業」「運送業者との業務委託」が挙げられます。この中で、業務委託は継続的に案件を紹介してもらいやすいため、安定して収入を得ることが可能です。
必要に応じて兼業も考える
兼業ができるのはフリーランスの大きな強みでもあります。兼業でスポット配送やチャーター便、フードデリバリーの案件などを受けることで、より多くの収入を得られるでしょう。
軽貨物ドライバーは今後も儲かる?
軽貨物ドライバーへの転職を検討している方の中には「これからも稼げるのかどうか」が気になっている方も多いはず。そこで軽貨物ドライバーの今後について紹介します。
ECサイトの拡大でさらに需要が高まる可能性がある
近年では通販サイトなどのECサイトの利用者が増えており市場も拡大しています。このような状況で、「商品をお客様に届ける」といった仕事にあたる軽貨物ドライバーは、これからも需要が高まる可能性があるといえるでしょう。
配送サービスの多様化に対応できる軽貨物ドライバーは貴重
ECサイトなどでは消費者の要望に応えるために、時間指定や即日配送など配送オプションが設定されています。こういった配送サービスに対応できる軽貨物ドライバーは市場でも価値が高く、引く手あまたになる可能性が考えられます。
2024年問題の影響が追い風になるかも?
2024年問題とは、物流業界の長時間労働を改善するために時間外労働の規制を強めたことで、「配送業務量の減少」「荷主への金銭的負担増加」などの物流業界に生じる問題の総称です。
物流業界にとっては深刻な問題ですが、運送・配送業者が捌ききれない荷物を軽貨物ドライバーに配送依頼するといった変化も期待できます。そのため、2024年問題が軽貨物ドライバーにとって追い風となるかもしれません。
軽貨物ドライバーは未経験、女性も始めやすい!
軽貨物ドライバーは、ドライバー未経験者や女性・高齢者の方でも始めやすい仕事といえます。
また、個人事業主として働く場合には、自分のペースで働けるのも大きなメリットです。
未経験でドライバーへの転職を考えていたり、セカンドキャリアとして新たな仕事を探していたりする方は、軽貨物ドライバーを検討してみてはいかがでしょうか。