トラックドライバーとして働きたいと考えてはいるものの、身近に相談できる人がいないとキャリアアップの方法や労働環境の実態が気になって悩んでしまいますよね。
また、人手不足やドライバーの高齢化などの課題を抱える物流・運送業界で、トラックドライバーとして働き続けられるかと将来を不安に感じている人もいるのではないでしょうか。
ここでは、業界の将来性や今後需要が高まる仕事、トラックドライバーのキャリアパスの例について解説します。
トラックドライバーの未来ってどうなる?業界のトレンドと将来性
テクノロジーの発達によってトラックドライバーの仕事は減る?
近年、テクノロジーの発達により急速な進化を遂げているのが自動運転技術です。すでに車間距離の調整や障害物の自動検知など実用化されている技術もあり、トラックドライバーの安全運転をサポートするなど、その影響は物流・運送業界にも波及しています。
より高いレベルの自動運転技術が普及すれば、人為的ミスによる事故が減ることで安全な長距離走行が可能になり、トラックドライバーの負担は大きく軽減されることでしょう。
一方で、無人トラックの普及により、トラックドライバーの仕事が減るのではと将来を危惧する声も聞かれます。確かに高速道路では無人トラックの実証実験が進んでいますが、信号待ちや車線変更が多い一般道でトラックを運転するにはまだまだ人間の判断力とドライブスキルが必要です。
今後は自動運転技術とドライバーのスキルを掛け合わせることで、より安全で効率的な輸送が可能になると期待されています。
「2024年問題」とは?ドライバーにどんな影響がある?
物流・運送業界にテクノロジーの導入が進められるようになったきっかけは、業界の慢性的な人手不足にあります。主に長距離輸送を担当する大型トラックのドライバーには車中泊を前提とする運行や長時間労働の実態があり、トラックドライバー人当たりの負担が大きく、「トラックドライバーになるのはやめとけ」と言われることも珍しくありませんでした。
過酷な労働環境を改善して人手不足を解消するために、2024年4月1日より、物流・配送業界でも「働き方改革関連法」が適用されました。
すでに他業界では2019年4月より適用されていた法案ですが、長時間労働が恒常化している業種では、人員計画の見直しや業務効率化などの中長期的な改革が必要であったため、トラックドライバーを含む自動車の運転業務は、特例業種として「年間960時間」を時間外労働の上限とし、規制への移行に5年間の猶予が設けられていたのです。
トラックドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に規制されることを機に、輸送能力低下および物流会社の収益減少、ひいてはトラックドライバーの収入源など新たな問題が起こりうるとされています。これを「物流の2024年問題」と呼び、物流業界の各社では、法規制に沿った労働環境の改善を図りながら、物流事業の継続と発展の両立が求められています。
そのため物流各社では続々と最新テクノロジーを駆使した業務効率化や給与形態の見直しなどが行われるようになっています。「2024年問題」と聞くと暗いニュースのように捉えがちですが、長時間労働の是正、荷待ち時間の減少、待遇向上などのメリットも多々あります。トラックドライバーにとって働きやすい環境が整備されつつある今、転職は狙い目と言えるでしょう。
需要急増!トラックドライバーは引く手あまたの存在
これまでトラックドライバーの仕事は一人体制が基本でしたが、最近では輸送距離に合わせた配送体制が整えられています。目的地が遠い場合は一人で長距離輸送するのではなく、物流センターなどの中継拠点でトラックを乗り換えたり、荷物を積み変えたりしてUターンするなど、輸送を複数人で分担する方式が増えています。
物流各社では、ドライバー一人当たりの負担を減らすため、ドライバーの数を増やしたいという発想が根底にあることから、トラックドライバーの需要はかなり高く、引く手あまたの存在です。
ECサイトの発展により今後も需要アップ!
昨今、ECサイトの発展により、インターネットを通じてオンラインでの商品注文・購入が増加しています。総務省の「家計消費状況調査」によると、インターネットショッピングを利用する世帯割合は、コロナ禍の2020年3月以降急速に増加し、二人以上の世帯の約半数以上が利用する状況が続いています。
さらに、コロナを期に小売業の多様性が進んでおり、ネットスーパーやネットコンビニ、店頭購入品の配送サービスの拡充に伴って、今後もトラックドライバーの需要は高まっていくことが予想されます。
トラックドライバーのキャリアパス例
高い需要が続くトラックドライバーですが、キャリアパスにも様々な可能性があり、資格を取ってドライバーから管理職に転身する道もあります。ここでは、トラックドライバーが目指せるキャリアパスについて、代表的なものを3つ紹介します。
運行管理者
運行管理者は、法律に基づき、安全運行に必要なドライバーの勤務時間を設定し、運行管理のための指揮命令を行います。ドライバーの乗務割の作成や乗務記録の管理、休憩・睡眠施設の保守管理、ドライバーの指揮監督、業務前後の点呼によるドライバーの疲労・健康状態等の把握や安全指導などが主な業務です。
ECサイトが普及し輸送業務が増えるなか、管理業務をメインに行う運行管理者の存在は重宝されるため、将来性のある職種と言えるでしょう。
衛生管理者
国家資格の一つである衛生管理者は、作業環境の衛生管理や労働者の健康管理を行い、社員の安全を全般的にサポートします。安全労働衛生法に基づき、常時50人以上の社員がいる会社には必ず衛生管理者を選任するため、必要不可欠な役職です。
衛生管理者は、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者に分かれており、有害業務との関連性によって分類されます。物流・運送業の場合は危険度の高い業種のため、第一種衛生管理者の資格が必要です。
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法に基づく危険物を取り扱ったり、定期点検を行ったりする業務に必要な国家資格です。例えば、ガソリンやエタノールなどの引火性の高い物質をタンクローリーで運ぶ場合、危険物取扱者の資格を有する人がドライバーもしくは同乗者である必要があります。
危険物取扱者の資格は甲種・乙種・丙種の3つに分類され、それぞれの資格で取り扱える危険物の種類が異なります。危険物を取り扱う会社は多いため、危険物取扱者の有資格者はトラックドライバーとしてキャリアの幅が広がりやすいでしょう。
個人事業主として自営を行う道も
トラックドライバーのキャリアパスとして、運送業で独立開業する方法もあります。軽貨物運送業であれば、開業のハードルが低く、自動車一台と普通免許があれば始められます。
軽のワンボックスカーや軽トラックなどの軽車両を使用し、指定の住所に荷物を届けるのが主な業務です。基本的には業務委託で仕事を請け負うため、輸送量により大きく稼ぐこともできます。
トラックドライバーとしてキャリアを構築するためのアドバイス
トラックドライバーは、安全運転や交通ルールを順守した適切な運転スキルはもちろん、指定された時間に荷物を届ける正確なタイムマネジメントスキルやコミュニケーション能力も求められます。
キャリアアップのためには、予期せぬトラブルや困難に対して迅速かつ丁寧に対処できる問題解決能力も求められるでしょう。
運行管理者や衛生管理者、危険物取扱者などは、このような基礎的なスキルがあってこそ担える仕事です。そのため、トラックドライバーとしてキャリアアップを目指すなら、資格を取ることだけにこだわらず、基礎的なスキルを磨くことを意識しましょう。
トラックドライバーは幅広いキャリアを望める!
2024年問題の影響により転換を迎えようとしている物流・配送業界ですが、国と物流各社の取り組みにより今後は働きやすい環境が整備されます。
さらに、ECサイトの発展でトラックドライバーの需要は急増しているため、転職を考えるなら今がおすすめです。
資格を取得することで幅広いキャリアを望めるため、まずはトラックドライバーの求人を見比べることから始めてみてはいかがでしょうか?