重い荷物の運搬や積み下ろしに必要不可欠なフォークリフト。工場や倉庫、空港やターミナルなどさまざまな業界で活躍する車両です。ネットショッピングの普及にともない年々需要が高まっているフォークリフトですが、運転するにはフォークリフトの免許が必要になります。
本記事では、フォークリフトの免許の必要性や、免許取得のメリットを紹介。トラックドライバーからの転職を考えている方や、仕事の幅を広げたい方はぜひ最後までご覧ください。
物流におけるフォークリフトの役割と種類
フォークリフトとは、倉庫や工場などの物流現場で活躍する車両のことです。人の力では持てないような重い荷物を運ぶ際に役立ち、トラックやコンテナへの荷積み下ろしによく使われています。
フォークリフトにはいくつか種類があり、種類ごとに用途や特徴が異なります。ここでは、代表的な5つのフォークリフトを紹介します。
カウンターバランスフォークリフト
物流業界で最も一般的なフォークリフトです。略して「カウンターリフト」ともいわれています。耐荷重や車体強度が高く、座ったまま操縦できるため安定感もあります。
リーチフォークリフト
位置を移動することなく、フォーク(荷物を載せる部分)を前後に動かすことができます。フォークを引っ込めてコンパクトにできるため、小回りが求められる狭い場所で活躍します。
サイドフォークリフト
車体の真横にフォークがついているのが特徴です。荷台が広いので、木材やパイプなどの長いものを運ぶときに使用します。
オーダーピッキングトラック
ピッキング作業をする際に使うフォークリフトです。操縦席ごと動かせるので、フォークリフトの操縦とピッキングを同時におこなえます。
ウォーキーフォークリフト
操縦席がない歩行タイプのフォークリフトです。車体がコンパクトなので狭い場所でも使用できます。比較的軽い荷物の積み下ろしや、移動距離が短いところで活躍します。
ドライバーがフォークリフトの免許を取るメリットは?
フォークリフトを運転するにはフォークリフト免許が必要になります。フォークリフト免許は満18歳以上であれば誰でも取得でき、実務経験や普通免許の有無は問われません。更新の必要もないため、生涯免許を保持できます。
では、実際にフォークリフトの免許を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
給料が上がる
フォークリフトの免許を持っていることで、資格手当がつくことがあります。会社によって支給条件や金額が異なるので、将来的にフォークリフトの免許取得を考えている人は求人をチェックする際に資格手当についても目を通しましょう。
男女問わず長く働ける
フォークリフトは重い荷物の積み下ろしから運搬までを一括でおこなえるため、肉体労働はほぼありません。力に自信がない人や男女問わず活躍できます。また、免許は一度取得すれば生涯保持できるので、年齢に左右されることなく働き続けられます。
需要が高い
ネットショッピングの利用増加にともない、倉庫内業務の求人が増えてきています。ピッキングや仕分けの業務にはフォークリフトが必須なため、さらに需要が高まっています。
フォークリフトの免許を取るのはやめとけと言われる理由
近年の物流業界では自動化に向けた取り組みが増加しており、その中の一つに「無人フォークリフト」があります。無人フォークリフトとは、フォークリフト上で人が操作することなく無人で積み下ろしや運搬をおこなえる次世代のフォークリフトです。普及率はまだ低いものの、人手不足が課題の物流業界にとって欠かせない存在になる日も近いかもしれません。
しかし、無人フォークリフトの導入には初期費用がかかるだけではなく、稼働にあたって細かな調整が難しいなどの課題もあるため、まだまだ有人フォークリフトの需要は高いといえるでしょう。また、現在は人手不足のため求人も多く、未経験からもチャレンジできます。トラック運転手からキャリアチェンジすることも可能です。
フォークリフト免許の取得プロセス
フォークリフトの免許を取得するには「フォークリフト運転技能講習」を受ける必要があり、運搬する荷物の重さによって受講する講習と修了証(免許)の種類が変わります。
講習 | 修了証の種類 | |
最大積載荷重1t未満 | フォークリフト運転特別教育 | フォークリフトの運転の業務に係る特別教育修了証 |
最大積載荷重1t以上 | フォークリフト運転技能講習 | フォークリフト運転技能講習修了証 |
「フォークリフト運転特別教育」は各都道府県が定めた事業所もしくは教育機関、「フォークリフト運転技能講習」は各都道府県の労働局に登録された教習所にて講習を受けられます。それぞれ学科講習と実技講習があり、修了試験は「フォークリフト運転技能講習」のみ実施されます。
免許取得にかかる費用や時間は保有する免許や実務経験によって以下の4通りに分けられます。
条件 | 費用 | |
11時間コース | ・普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許を保有 ・「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育修了証」を取得してから3か月以上の実務経験がある | 15,000円前後 |
15時間コース | ・「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育修了証」を取得してから3か月以上の実務経験がある | 25,000円前後 |
31時間コース | ・普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許を保有 | 40,000円前後 |
35時間コース | ・原付免許・自動二輪免許しか保有していない ・運転免許を保有していない ・実務経験がない | 45,000円前後 |
フォークリフトの免許をお得に取る方法
フォークリフトの免許取得には、助成金を申請できる場合があります。教育訓練給付制度を利用することで、講習費用(教育訓練経費)の20%に相当する額が支給されます。これは、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度で、一定の条件を満たす在職者と離職者が対象となります。それぞれの条件は以下の通りです。
- 在職者:受講開始日の時点で、雇用保険の被保険者である期間が3年以上、過去3年以内に教育訓練支援金制度を未利用である方 ※初回は1年以上の加入期間で受給可能
- 離職者:受講開始日の時点で、離職日から受講開始まで1年以内、雇用保険の加入期間が3年以上ある方 ※初回は1年以上の加入期間で受給可能
また、企業によっては免許取得にかかる費用を負担してもらえることもあります。仕事でフォークリフトを使う場合はもちろん、従業員の資格取得に前向きな企業や支援制度が整っている企業を選べば、より安く免許を取得できます。
こういった支援制度は求人情報にも掲載されていることが多いため、転職の際にチェックしたいポイントでもあります。
フォークリフト運転で強みを増やせば収入も増える!
無人フォークリフトの導入が推奨される一方で、普及にはまだまだ課題が多い状態といえます。初期費用がかかることや教育コストを考えると、全国的な普及はまだ先といえるでしょう。現状、フォークリフトの運転手は人手不足が続き、年々需要が高まってきています。トラックドライバーからの転職や仕事の幅を広げるために、フォークリフトの免許取得を考えてみるのはいかがでしょうか?