当サイトはプロモーションが含まれています

トラック運転手、やめとけと言われる理由は?長時間労働や給与の実態を調査!

トラック運転手というお仕事に対して「長時間労働」「事故のリスクが高い」「給与が低い」などの、マイナスイメージを抱いている方も少なくないはず。しかし、最近では法改正などの影響によって労働環境の改善が進められています。

今回は、トラック運転手の労働時間や給与などの実態を調査。「トラック運転手になるのはやめとけ」と言われていた時代と比較して、労働環境はどのように改善されているのでしょうか?

目次

トラック運転手の労働時間は?

確かに、少し前まで多くのトラック運転手には長時間労働の実態があり、長距離運転の場合は車中泊をしなければならない状況もありました。

しかし、ドライバー不足や高齢化が社会課題となった現在では、政府と事業者が一丸となり、トラック運転手の労働環境の改善が進められています。

労働基準法の改正によって進められる働き方改革

2024年4月には働き方改革の一環として労働基準法が改正され、時間外労働の上限規制が以下のように厳しくなりました。

また、これらの上限規制に違反した事業者には「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の罰則が科されるため、長時間労働の抑止力となることが期待されています。

原則【違反した場合罰則あり】
1.1日8時間、1週間40時間
2.36協定を結んだ場合、協定で定めた時間までの時間外労働が可能
3.災害復旧・大雪の除雪など、避けることのできない事由の対応が発生した場合は労働時間の延長が可能
36協定の限度【法定:罰則あり】
(1)一般則
・原則、月45時間かつ年360時間
・特別条項がある場合
 1.年720時間(休日労働を含まない)
 2.一時的に仕事量が増加する場合も
  a.2~6カ月の平均で80時間以内(休日労働を含む)
  b.月100時間未満(休日労働を含む)
  c.原則として、月45時間を超える月は年6回を上限(休日労働を含まない)
(2)自動車運転業務の取り扱い
2024年4月以降
・原則、月45時間かつ年360時間
・特別条項がある場合は年960時間(休日労働を含まない)
(将来的な一般則の適用については引き続き検討)

2024年4月からはトラック運転手の時間外労働も「年間960時間以内」が上限となります。

これによって、事務職や整備、倉庫作業職はもちろんトラック運転手も、大幅な時間外労働を強いられることはなくなるでしょう。

1運行の走行距離や拘束時間も減少傾向に

国土交通省が公開している「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」では、2021年1月下旬~3月3日にトラック運転手へアンケートを行った結果が以下のようにまとめられています。

1運行あたりの平均走行距離・実写距離

2021年調査2015年調査
平均走行距離平均実車距離平均走行距離平均実車距離
普通115km91km172km128km
準中型138km104km
中型194km143km227km169km
大型295km220km347km272km
トレーラー289km182km280km186km
平均241km177km297km227km

この表では、2021年の平均走行距離が普通車で115km、全体平均では241kmとなっており、2015年に行われた調査結果の普通車172km、全体平均297kmと比べて減少していることがわかります。

また、トレーラーでは平均走行距離がやや増加しているものの、平均実車では減少傾向にあるようです。

1運行あたりの拘束時間と内訳

2021年調査2015年調査
点検・点呼など0時間23分0時間29分
運転時間6時間52分6時間31分
荷待ち時間0時間25分0時間48分
荷役時間1時間29分2時間47分
上記及び休憩時間以外の
その他の付帯作業など
0時間14分0時間13分
休憩時間1時間43分1時間26分
不明時間0時間11分
拘束時間11時間05分12時間26分

1運行あたりの拘束時間においても、全体平均で2015年の調査からは1時間以上の短縮となっています。

こうした変化の背景には「中継輸送」の活用があります。従来は1台のトラックを1人で運転して目的地に届けるという方式が主流でしたが、現在は配送先までの途中で荷物の積み下ろしやトラックの乗り換えを行い、複数のドライバーで輸送をリレーする輸送方式に変革が進んでいます。

このように、トラック運転手の労働環境は以前に比べて改善傾向にあるといえるでしょう。

トラック運転手の給与水準・年収

働くうえで給与は無視できない非常に重要なポイントです。「トラック運転手は稼げない」というイメージがあるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。

公益社団法人全日本トラック協会の公開している「2022年度版 トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態(概要抜粋版)」によると、2022年度の男性運転者の賃金+賞与の1カ月平均は約38万円、女性運転者では約30万円となっており決して低い水準ではありません。

また、大型車やけん引車などの運転手は、普通車などに比べて給料が高くなります。

そのほか、企業によって差はあるものの、トラック運転手の給料には歩合給がつくケースも多くあります。働いた分だけ給料にも反映されるため、より高い収入を見込むことも可能です。

安全装置の進化と運転環境の改善

トラック運転手は長く車を運転するからこそ安全への意識は欠かせません。しかし、「万が一、事故を起こしてしまったら……」と不安に思う方もいるでしょう。そこで、トラック運転手に対する安全性への配慮について紹介します。

意外とトラックによる事故は少ない?

公益社団法人全日本トラック協会が発表している「事業用貨物自動車の交通事故の発生状況」によると、2021年度の事業用貨物自動車による死傷事故件数は合計で9,415件でした。これは2012年の19,474件と比較して大幅な減少といえます。

また、2021年の交通事故件数は305,196件であり、事業用貨物自動車による事故は全体のおよそ3%です。そのため、「トラックだから事故のリスクが特別に高い」ということはありません。

トラックの安全装備で事故のリスクを軽減

最近のトラックでは、ドライブレコーダーや後ろの様子を確認できるバックカメラやモニター、車線逸脱警報装置、サイドカメラなどの安全機器が装備されています。

また、2014年からはトラックやバスへの衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の搭載が義務付けられているのもポイント。

2025年からはより性能の高い、歩行者対応の衝突被害軽減ブレーキの装着が義務付けられています。

安全への意識をもって運転することはもちろん大切ですが、トラックにも安全性を高める工夫が施されている点は、これからトラック運転手を目指す人にとっては安心材料といえるでしょう。

教育制度も充実でしっかりサポート!一例を紹介

トラックは乗用車よりも車体の幅や長さが大きいため、日常的に車に乗っていてもトラックの運転には不安を感じる方は多いはず。

この不安や事故のリスクを減らすために、国土交通省は運送業のドライバーに対し、法定12項目の指導を年間を通じて受けることを義務付けています。

トラック運転経験が少ない運転手も、安全運転ができるよう仕組みが整えられているというわけです。

また、近年では企業独自にドライバー教育制度を設けているケースも多く、ひとり立ちするまでにより充実した教育が受けられるようになっています。

教育制度の例1:本人が納得いくまでしっかりと同乗研修

トラック運転手としてひとり立ちするまでに、先輩ドライバーとの同乗研修があります。同乗研修は2週間~1カ月程度の期間を決めて行うのが一般的ですが、本人が「一人で大丈夫」というまでしっかりと研修というケースも。

自分が納得いくまで研修が受けられるのは安心感も大きいでしょう。

教育制度の例2:継続的な指導で常に安全性を意識

初任時に座学や適性診断、1~2カ月の同乗研修を実施。事業所責任者による見極め同乗確認に合格してひとり立ちになるなど、しっかりと段階を踏んだ教育を実施するケースもあります。

また、ひとり立ち後も、日々の運行ごとに日報やドライブレコーダーの映像をもとにした指導や、月次での品質会議・安全衛生委員会議・ヒヤリハット会議でドライバーや内勤者で情報を共有し、常に安全性への意識を高めているようです。

トラック業界の労働環境は改善されている!

トラック運転手の求人を探してみると「やめとけ」という評判を見ることもあるでしょう。しかし、トラック運転手の仕事が「長時間労働」「低賃金」と言われていたのは過去のことです。

近年、トラック運転手の労働環境は改善傾向にあり、今後も、DXなどの技術が進歩・浸透することで、より働きやすくなることも十分考えられます。

初めての業界に挑戦するのは勇気が必要なことではありますが、思い切ってトラック運転手へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?

  • URLをコピーしました!
目次