トレーラーの運転手は、荷物を運ぶという点では一見トラックの運転手と同じようなイメージがあるかもしれませんが、実際の運転に必要な資格など、異なる点は多くあります。
そのため、トレーラーの運転手を目指すのであれば、仕事内容などについて知っておくことが大切です。
本記事では、トレーラーの運転手の仕事内容や必要な資格、年収などについて紹介します。
トレーラー運転手はどんな仕事?
トレーラー運転手の仕事内容
トレーラー運転手の主な仕事内容は、貨物の運搬です。基本的には長距離の輸送が多く、荷下ろし先で宿泊することもあります。
また、深夜から仕事が始まるケースも少なくありません。どうしても生活リズムが安定しづらいため、健康管理が非常に重要な仕事といえます。
トレーラーとは
一般的にトレーラーと聞くとトラックのような荷台のある車をイメージする方が多いでしょう。
しかし、トレーラーとはけん引される荷台部分を指し、トラクターと呼ばれる牽引車によって引っ張られる車両になります。
トレーラー部分は動力を持たないため、自走することができません。そのため、荷台部分と運転部分が一体化しているトラックとは大きく異なります。
セミトレーラーとフルトレーラー
トレーラーには大きくセミトレーラーとフルトレーラーの2つに分けられます。それぞれの特徴は以下の通りです。
セミトレーラー
前輪を持たず、トラクターと連結してけん引しなければ動かせないタイプのトレーラーです。
前輪のないセミトレーラーは、荷台の重さの大半をトラクターが支えるため、制御がしやすいというメリットがあります。トレーラー部分を自立させる際は、補助輪やスタンドを使用します。
日本で走っているトレーラーの多くはセミトレーラーです。
フルトレーラー
フルトレーラーは運転席と荷台を備えており、一見するとトラックのように見えますが、トレーラーをけん引するための連結器を備えているのが大きな特徴です。
フルトレーラーはトレーラーを複数連結できるため大量の輸送が可能ですが、セミトレーラーよりも制御が難しくなります。
トレーラー運転手の仕事の流れ
トレーラー運転手の主な仕事の流れは以下の通りです。
使用車両の点検を行った後、アルコールチェック・体調検査を受けます。
積荷と配送先、配送時間などを確認して、積み込み先に向かいます。
指定の場所で貨物の積み込みを行い、安全運転で配送先へ向かいます。
貨物の積み込みは専門の担当者が行うのが一般的です。
配送先に到着したら担当者に連絡をして荷下ろしをします。
荷下ろしは相手先の担当者が行うのが一般的です。
荷下ろしが済んだら帰社しアルコールチェックを受けて作業報告書を提出。車両の清掃をして業務終了です。
荷下ろし先で宿泊が必要な場合は、荷下ろし後に業務終了となり、翌朝に帰りの貨物を積み込んで出発。
配送先に到着したら荷下ろしをして帰社します。
トレーラー運転手に必要な資格とは?まずは大型免許から
荷台の大きいトレーラーを運転するためには「大型自動車免許」が必要です。
また、トラクターとトレーラーが切り離し可能な車両で、750kgを超える貨物を載せて運転するには「けん引免許」の取得も求められます。
そのため、どちらも取得していない場合は、まずは大型自動車免許の取得を目指しましょう。
けん引免許の種類
けん引免許には以下の3つの種類があります。
牽引自動車第一種運転免許
車両を牽引して公道を走行する際に必要な免許です。
牽引自動車第二種免許
トレーラー式の観光バスなど旅客運送用の車両を牽引する際に必要な免許です。
営利目的で人を乗せて運転する場合には牽引自動車第二種免許が必要となります。
牽引小型トレーラー限定免許
車両総重量が750kg〜2,000kg以下の車両がけん引可能となる免許です。
けん引免許の取得の条件
- 二種、大型、中型、準中型、普通、大型特殊免許のいずれかを取得している
- 満18歳以上
- 視力が両眼で0.8以上、かつ、一眼でそれぞれ0.5以上(メガネやコンタクトレンズの使用可)
- 深視力検査でその平均誤差が2cm以下
- 赤、青、黄色の色彩を識別できる
- 10mの距離で90dBの警音器の音が聞こえる(補聴器の使用可)
- 運転に支障をきたす可能性がある身体の障害がない
けん引免許の取得にかかる期間と費用
けん引免許の取得には、自動教習所に通う方法と、運転免許試験場での一発試験を受ける方法があります。
自動車教習所に通う場合
自動車教習所に通う場合は、最短12時間の技能講習を受け卒業検定を通過後、運転免許試験場で適性試験に合格すれば免許を取得できます。
免許取得までの期間は受講ペースによって異なりますが、最短で一週間程度での取得も可能です。費用の目安としては12~18万円程度となります。
一発試験を受ける場合
一発試験では、運転免許試験場で適性検査と技能試験を受けてどちらも合格すれば免許の取得ができます。
適性試験を受けた当日は技能試験を受けられませんが、最短2日で取得が可能です。
また、自動車教習所に通わないため、かかる費用も受験料・試験車使用料・免許証交付手数料のみで6000円ほどとなっています。
ただし、トレーラーの運転は非常に難しく運転技術が求められるため、初めてけん引免許を取得する場合は自動車教習所に通うのがおすすめです。
トレーラー運転手は技術が命!
トレーラーは乗用車やトラックとは運転感覚が異なり、乗りこなすには相応の技術が必要です。
特にバックは特に難しいといわれています。
トレーラーのバックが難しいといわれる理由
トラクターとトレーラーを連結した車両は12~21メートルと非常に長いため、運転感覚をつかむのが難しくなります。
また、連結部分が曲がるため、少しのハンドル操作でもトレーラー部分が曲がってしまい、死角が多くなるのも難しいとされる一因です。
さらに、トレーラーはバック時にトラクター部分を進行方向に向けなければならず、進行方向とは逆にハンドルを切る必要があり、ハンドル操作が通常と反対になる点に注意しなければいけません。
トレーラーのバック上達のために覚えておきたいポイント
トレーラーのバックをしっかりと行うためには以下のポイントを押さえることが大切です。
慣れないうちからすべてを完璧にこなすのは難しいかと思いますが、できるだけ多くのポイントを意識して運転に臨みましょう。
- 角度をつけすぎないように
- バックしながら位置を調整しようとせずに一度前進して立て直しを
- 速度と角度は一定に
- アクセルではなくクラッチワークでバックする
- 運転席から確認しやすい右バックを意識
- 運転席の窓を開けて視野を確保
- まずは目視で周囲を確認
- バックモニターも活用
- 内輪差にも注意して
- 難しいときは周囲の方に誘導依頼を
トレーラー運転手としてのキャリアパスは?
厚生労働省の運営する職業情報提供サイト「job tag」によると、年収の全国平均は477.4万円となっています。
高い技術や専門性があることから、大型・中型トラックの運転手よりも収入は高い傾向があります。
また、トレーラー運転手としてのキャリアを積んだうえで、最終的には独立して自身で運輸会社を立ち上げることも考えられるでしょう。
トレーラーの運転手としてのキャリアや収入のアップを目指すのであれば、長く勤続することに加えて、タンクローリーの運転が可能となる危険物取扱者や毒物劇物取扱責任者などの資格取得を目指すのがおすすめです。
ドライバーとして上を目指すならトレーラー運転手を考えてみては?
トレーラーの運転手は大型自動車免許やけん引免許が必要な分、就職や転職のハードルは高いといえます。
しかし、それだけ収入が高く、ドライバーとしての活躍も見込める仕事です。
もしドライバーとしてのキャリアアップを目指すのであれば、トレーラー運転手を目指してみてはいかがでしょうか。